インプラント治療を受けた後に鼻の痛みや詰まりを感じる場合、それは副鼻腔炎(蓄膿症)かもしれません。
特に上顎へのインプラント治療では、副鼻腔に近い部位に処置を行うため、術後のトラブルとして副鼻腔炎が起きるリスクがあります。
この記事では、副鼻腔炎を予防するためのポイントや、万一症状が出た場合の対処法について詳しく解説します。
目次
■適切な診断と治療計画を行う
◎術前のCTスキャンによる精密検査
副鼻腔とインプラントの位置関係を正確に把握するため、CTスキャンでの精密検査が必要です。
通常のレントゲンでは骨の厚みや奥行き、上顎洞の立体的な様子は分からないので、しっかりとCTで検査することが大切です。
骨の厚みや副鼻腔の状態を確認し、リスクが高い場合はインプラント以外の選択肢を検討します。
◎骨量の診断
骨量が不足している場合は、無理にインプラントを埋入するのではなく、ソケットリフトやサイナスリフトなどの骨造成を行うことを検討しましょう。
骨量がない状態で無理な手術をしてしまうと、インプラントの先端が上顎洞に突き抜け、感染の原因となります。
◎もともとある副鼻腔炎を治療する
術前に慢性副鼻腔炎や軽度の炎症が見られる場合、事前に治療しておくことが術後のリスクを減らします。
場合によってはインプラント埋入前に耳鼻科と連携し、適切な治療を行ってから手術を行う必要があるかもしれません。
■手術中の感染を予防する
◎手術に適した環境
手術中に細菌が副鼻腔に侵入しないよう、清潔な状態を維持することが重要です。
新しい設備や器具を使用していて、衛生管理が行き届いている医院を選ぶと良いでしょう。
また、歯科医師の技術が感染予防につながることもあります。
HPなどでインプラント治療の症例数などを参考にし、経験豊富な歯科医院を選ぶと良いでしょう。
■術後のケア
◎術後の適切な口腔清掃
術後の適切なケアが、長期的なインプラントの健康を維持する鍵となります。
インプラント周囲の清潔を保つためには、術後の口腔ケアは必須です。
ワンタフトブラシやデンタルフロスを使用して、自宅でのケアを行いましょう。
また、歯科医院での定期メンテナンスで、清掃の方法について歯科医師や歯科衛生士から指導を受けることも大切です。
◎定期検診の重要性
術後は定期的に検診を受けましょう。
インプラントの状態を定期的にチェックすることで、何か異常があった場合でも早期発見と早期治療が可能になります。
副鼻腔炎だけでなく、他のトラブルも防ぐことができます。
また、定期メンテナンスはインプラントの保証の条件となっていることもあります。
予期せぬトラブルで再治療が必要になった場合、定期検診を疎かにしていると保証を受けられないこともありますので、注意しましょう。
◎気になることがあればすぐに受診を
鼻詰まりや痛み、息苦しさ、頭痛などの症状がある場合、すぐに耳鼻科、歯科を受診してください。
自己判断で放置するのは危険な場合もあります。
■体調管理について
◎免疫力を高める生活習慣
免疫力が落ちると炎症が起こりやすくなります。
特に元々副鼻腔炎になりやすい方は注意が必要です。
十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事、適度な運動など、免疫力を高める生活習慣を意識しましょう。
◎アレルギー対策
アレルギー性鼻炎や花粉症などがある場合、これらをコントロールすることも副鼻腔炎予防に重要です。
アレルギー体質の方は、必要に応じてアレルギー治療を並行すると良いかもしれません。
【インプラント性の副鼻腔炎かな、と思ったらすぐに受診を】
副鼻腔に近い上顎のインプラント治療を行う時は、副鼻腔炎のリスクを把握しておき、予防するための取り組みが必要です。
副鼻腔炎を起こさずインプラント治療を成功させるためには、事前の診断や計画、手術中の感染対策、術後のケアなどをしっかり行うことが大切です。
信頼できる歯科医師と十分に相談し、自分の身体や生活環境に合った治療法を選びましょう。
しっかりとした予防策とアフターケアを行うことで、副鼻腔炎を防ぎ、長期的で快適なインプラントの維持が可能となります。