インプラント治療を行う際、喫煙は治療の成功を妨げる大きな要因の一つです。
一般的な紙巻きタバコがインプラント治療に与える悪影響についてはご存じの方も多いかもしれません。
一方で、近年普及が進む電子タバコや加熱式タバコは、「紙巻きタバコより安全」と考えられがちです。
この記事では、この疑問に焦点を当て、電子タバコや加熱式タバコがインプラント手術前後に与える影響について詳しく解説します。
喫煙が治療にどのような影響を与えるのかを理解し、より成功率の高いインプラント治療を目指しましょう。
目次
■手術前の電子タバコや加熱式タバコを含むタバコの影響
◎手術前の喫煙が与えるリスク
インプラント手術前に喫煙を続けていると、全身の血流が悪化し、顎骨や歯肉への酸素供給が不足します。
この状態では、手術中の出血リスクが高まったり、手術後の治癒が遅れたりする可能性があります。
これは紙巻きタバコだけでなく、電子タバコや加熱式タバコでも同様です。
◎手術前に禁煙が必要とされる理由
インプラント手術の成功率を高めるためには、手術の1週間前程度から禁煙することが必要とされています。
これは電子タバコや加熱式タバコも含めた喫煙全般が対象です。
禁煙により血流が改善され、手術中や術後の回復がスムーズになります。
■手術後の電子タバコや加熱式タバコを含むタバコの影響
◎術後の喫煙がもたらすリスク
タバコには、ニコチンや発がん性物質など様々な物質を含んでいるため、インプラント手術後に喫煙を再開すると、傷口が十分に治癒しないリスクが高くなります。インプラントは、埋め入れたインプラント体が顎骨としっかり結合する必要がありますが、タバコに含まれる成分により骨の再生が妨げられることが分かっています。
◎免疫力について
術後は細菌感染のリスクもあるため、喫煙による免疫力低下が問題となることもあります。
◎術後どのくらい禁煙するべきか
インプラント手術後は、最低でも1週間禁煙することが推奨されていますが、これを過ぎても最低数ヵ月は禁煙することが望ましいでしょう。
術後数ヵ月の時間を経て、骨とインプラント体が結合していくため、禁煙することで治療の成功率を高めることができます。
◎インプラントを入れたら生涯禁煙が治療の鍵
一時的な禁煙だけでなく、インプラントを入れたら生涯禁煙するという考え方が安心といえます。
喫煙を再開すると、インプラントが安定した後であっても歯周病の一種であるインプラント周囲炎などのトラブルが発生する可能性があります。
インプラントの長期的な安定を保つためには、禁煙がおすすめです。
■電子タバコや加熱式タバコがインプラント治療に与える影響
◎紙巻きタバコとの違い
電子タバコや加熱式タバコは、紙巻きタバコと異なりタールを発生させない点が特徴です。しかし、ニコチンを含む製品では血流への悪影響が避けられません。
さらに、ニコチンが含まれてなくても、加熱時に発生する化学物質の影響については研究中であり、安全性が完全に証明されているわけではありません。
加熱時に発生する様々な化学物質が炎症を引き起こす可能性もあります。
◎リスクを避けるための選択肢
インプラント治療の成功率を高めるためには、電子タバコや加熱式タバコを含む全ての喫煙行為を控えることが理想的な選択肢です。
禁煙外来やニコチンパッチなどの禁煙補助を活用することで、禁煙を成功させやすくなります。
【まだわからないことが多い加熱式タバコ、電子タバコ】
インプラント治療において、電子タバコや加熱式タバコも含む喫煙行為は治療成功率を下げる大きな要因となります。
手術前後に禁煙をすることで、インプラントと骨の結合がスムーズに進み、炎症や感染リスクを抑えることが可能です。
しかしその後も、できればずっと禁煙を行ったほうがインプラントの安定をはかりやすくなることは理解しておきましょう。
禁煙が難しい場合は、医師や専門家に相談し、禁煙補助を活用することをおすすめします。