Column 矯正治療の豆知識

仕事中も目立ちにくい八重歯矯正は?育児と両立する治療の考え方

仕事中も目立ちにくい八重歯矯正は?育児と両立する治療の考え方

写真の八重歯が気になったときに確かめたいこと


職場の紹介写真を撮ったとき、笑った口元の八重歯が目に入った。窓口で人と話す仕事だと、治療中の装置が見えないかが気になります。お子さんの送迎や食事の合間に、装着時間を守れるかも心配ですよね。この記事では、透明なマウスピース型矯正装置の見え方と生活の中での扱い、八重歯の位置や噛み合わせで方針が変わる理由を整理します。期間・費用・通院の考え方や、起こり得るリスクもまとめました。治療を決める前に、自分の歯並びで何を確かめればよいかが分かる内容です。


この記事の要点まとめ


  • 透明な装置は目立ちにくい一方、写真で反射する場合があり、装着時間の管理が必要です。
  • 八重歯の位置や空間、噛み合わせ、歯ぐきの状態で治療範囲や方針が変わります。
  • 期間・費用・通院・保定やリスクを確認し、仕事や育児の予定を伝えて相談します。

マウスピース矯正は仕事中の会話や写真で目立つ?

マウスピース矯正は仕事中の会話や写真で目立つ?

透明な装置は、窓口でのふだんの会話では目立ちにくい方法です。ただ、近い距離や写真では表面の反射が写ることがあります。歯に付ける補助部品が見えることもあります。


窓口で話すとき、装置や補助部品はどう見える?


透明な装置も、まったく無色に見えるわけではありません。照明が当たると表面が光り、フラッシュ撮影では縁が写る場合があります。歯の表面に付ける小さな突起(アタッチメント)を使う場合、歯に近い色の材料でも、近くで見ると分かることがあります。


装着したばかりの頃は、サ行などが話しにくいと感じる方もいます。慣れるまでの経過には個人差があります。


笑顔の印象は八重歯1本だけで決まるものではありません。スマイルアークは、笑ったときの上の前歯から犬歯までの切縁がつくる曲線と、下唇の曲線との関係として定義されています1。治療中の見え方とあわせて、どんな口元を目指したいかも相談で伝えてみてください。


昼食やお子さんの世話と装着時間をどう両立する?


食事のときは装置を外し、食べたあとに歯磨きをしてから付け直すのが基本の流れです。外している時間が長くなると、歯が計画どおりに動きにくくなります。1日の装着時間は担当医の指示に沿って管理しましょう。


  • 昼食後すぐ磨けるように、ケースと歯ブラシを職場用に一式置いておく
  • お子さんと食べる時間をまとめて、間食の回数を増やさない
  • 送迎や寝かしつけなど、付け忘れやすい時間帯を書き出しておく

体調不良や行事で装着できない日が続いたら、自己判断で次の装置へ進まず担当医に連絡してください。


マウスピースの黄ばみはどう防ぎ、どう手入れする?


コーヒーや紅茶、カレーのように色の濃いものは、装置を外してから口にすると着色を抑えやすくなります。装着中の飲み物を水にしておけば、汚れや糖分が装置の内側にたまりにくくなります。


日々の手入れは、外したら水で流し、やわらかいブラシで汚れを落とすのが基本です。熱湯や漂白剤など自己流の方法を使うと、変形や傷の原因になることがあります。使える洗浄剤は、事前に医院で確認しておきましょう。


高い位置にある八重歯もマウスピースで改善できる?

高い位置にある八重歯もマウスピースで改善できる?

高い位置にある八重歯でも、マウスピース型矯正装置での治療を検討できる場合はあります。ただし、歯を並べる空間や噛み合わせ、歯ぐきの状態によって方針が変わるため、見た目だけでは適応を決められません。


八重歯はどこにあり、位置の高さで何が変わる?


八重歯は一般に、上あごの犬歯(前から3番目の歯)が歯列から外れ、飛び出したように見える状態を指します。犬歯は生えてくるのが遅い歯です。並ぶ空間が足りないと、外側や高い位置に押し出されやすくなります。


位置が高いほど、歯を下へ引き下ろしながら列に入れる距離は長くなります。隣の歯との重なり方や、根の傾きの確認も必要です。笑ったときの印象は前歯全体の並びで決まるため1、八重歯の両隣まで含めて計画を立てます。


前歯だけの矯正で済む?結婚式など予定が近い場合は?


前歯だけの部分矯正で対応できるのは、重なりが軽く、奥歯の噛み合わせを変えずに済む場合です。八重歯を並べる空間を奥歯の位置から整える必要があれば、歯列全体の治療を検討します。


歯を動かすときは、支えている歯ぐきや骨の状態も一緒に考えます2。結婚式や記念撮影の予定があっても、その日までに仕上げる前提で進めないことが大切です。治療範囲と日程の見通しを分けて相談すると、無理のない計画を立てやすくなります。


抜歯せずに並べられるか、何を見て判断する?


抜歯が必要かどうかは、次の点を組み合わせて判断します。


  • 歯列の中で足りない空間の量
  • 前歯の前への傾きや、口元の出っ張り感
  • 上下の噛み合わせのずれ
  • 歯ぐきや、歯を支える骨の厚み

骨や歯ぐきが薄いところで歯列を大きく広げる場合、歯ぐきへの影響には個人差があるため、医師にご相談ください。あごの骨格に大きなずれがある場合については、歯の移動で補う方法と外科的な治療を組み合わせる方法を比べた研究があります3。骨格の評価も判断材料のひとつです。


ポイント

抜歯するか・しないかは、一概にどちらが良いとは言い切れません。空間・噛み合わせ・歯ぐきの状態を確かめたうえで、一人ひとりに合わせて判断します。


治療期間・費用・通院は仕事と育児の予定に収まる?


期間や通院回数は、八重歯の重なり方と治療範囲によって変わります。前歯を中心とした部分矯正と歯列全体を整える治療では、期間や通院頻度が異なり、個人差もあります。具体的な見通しは医師にご相談ください。歯が並んだあとの保定装置の使用期間や頻度には個人差があり、経過確認も続きます。具体的な使い方は医師にご相談ください。歯の動き方や装着時間には個人差があり、計画より期間が延びることもあります。家計と送迎の両方を考えて、総額に含まれる項目と通院予定を確認しておくと、予定を組みやすくなります。


八重歯の重なり方で期間や通院頻度はどう変わる?


重なりが軽く、動かす範囲が限られている場合と、噛み合わせを含めて歯列全体を整える場合では、装置の枚数や通院の工程が変わります。通院では装置を受け取るだけでなく、歯が計画どおりに動いているか、歯ぐきに負担がかかっていないかを確かめます2。


歯が並んだあとも、保定の期間と経過の確認が続きます。期間を尋ねるときは、歯を動かす期間と保定の期間を分けて聞くと、予定の全体像が見えやすくなります。


家計を考えるとき、治療費の何を確認する?


マウスピース型矯正装置による矯正は、公的医療保険が適用されない自由診療です。提示された金額に何が含まれているかで、家計への負担は変わります。


一般的な相場は、前歯を中心とした部分矯正で10万〜40万円程度、歯列全体の矯正で60万〜100万円程度です。このほかに、検査・診断料、通院ごとの調整料、保定装置の費用などが別にかかる場合があります。これらは一般的な相場であり、当院の費用ではありません。当院の費用は診察のうえでご案内します。


確認したい項目尋ねる内容の例
検査・診断治療前の検査や説明の費用が別にかかるか
装置追加の装置が必要になったときの扱い
経過確認通院のたびに調整料がかかるか
保定保定装置と治療後の確認の費用
支払い方法分割払いなど、選べる方法

インターネットで見かける相場の金額は一般的な目安で、当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や治療範囲によって異なります。診察を受けたうえで説明を聞いてください。


仕事と送迎の予定はどう組む?


職場・自宅・保育園を行き来する中で無理なく立ち寄れるか、予約できる時間帯が勤務や送迎と重ならないかを確かめておきましょう。通院先までの移動時間に加え、駐車場の利用や子どもを連れて受診できるかも、予定を組む際の確認点です。検査や処置で滞在時間が変わることもあるため、通院の頻度や各回の所要時間は、予約の際に確認してください。


八重歯の矯正中に起こり得る困りごとは?


目立ちにくい装置を使っていても、痛みや違和感、むし歯や歯ぐきの炎症、治療後の後戻りには備えておく必要があります。忙しい日でも続けられるケアと、相談するタイミングを知っておけば、慌てずに対応できます。


装着後の痛みや違和感はいつ相談する?


新しい装置に替えた直後は、歯が押されるような痛みや締め付け感が出ることがあります。痛みの強さや続く期間には個人差があります。


マウスピース型矯正装置による治療中に、次のようなことが気になる場合は医師にご相談ください。


  • 装着中の違和感や、話しにくさ
  • 装置の縁による頬や舌、歯ぐきの傷
  • むし歯や歯ぐきの炎症(歯周病)
  • 歯の根や歯ぐきの状態の変化
  • あごの関節の痛みや、口を開けにくいなどの症状
  • 装置の破損や変形、アタッチメントの脱落
  • 歯が計画どおりに動いていないと感じること
  • 治療後の歯並びの変化

次のような場合は医院へ連絡しましょう。強い痛みが続くとき、装置の縁で頬や舌が傷つくとき、装置が浮いて歯に合わないときです。歯ぐきの腫れや出血が続く場合も、歯を支える組織に負担がかかっている可能性があるため2、次の通院日を待たずに相談してください。


忙しい日もむし歯や歯ぐきの炎症をどう防ぐ?


装置を付けている間の口の中の状態には個人差があります。気になることは医師にご相談ください。汚れが残っていると、むし歯や歯ぐきの炎症が起こりやすくなります。装置だけをきれいにしても、歯に汚れが残っていては防ぎきれません。


食後は歯磨きをしてから装置を戻すのが基本です。時間がない日はうがいだけでも済ませ、夜に丁寧に磨くようにしましょう。歯ぐきに炎症がある場合、歯を動かすことによる支える組織への影響には個人差があります。医師にご相談ください。定期的に口の中を確認してもらうことも、治療計画に含まれています。


歯が並んだ後も保定装置を使うのはなぜ?


動かし終えたばかりの歯は、周りの骨や歯ぐきがまだ落ち着いていません。そのため、元の位置へ戻ろうとする力が働きます。保定装置(リテーナー)で歯の位置を保つ期間が設けられているのは、このためです。


ポイント

保定装置を使っていても、後戻りがまったく起きないとは言い切れません。使い方と通院の予定を治療前に確認し、計画に含めておきましょう。


相談では何を調べ、どんな順番で治療を決める?


相談したその場で治療を決める必要はありません。歯並び・噛み合わせ・歯ぐきの状態と、生活の中での負担を確かめてから考えて大丈夫です。


八重歯の診断では歯並び以外に何を確認する?


診断では、上下の噛み合わせ、歯を並べる空間、歯ぐきや骨の状態、笑ったときの前歯の見え方を確認します21。骨格のずれが疑われる場合は、その評価も必要です3。


歯並びの記録や骨の状態の確認に、口腔内の記録や画像検査を用いることがあります。どの検査を行うかは、歯並びや相談の内容によって変わります。検査の内容と目的は、受診時に説明を受けてください。


マウスピースで進めたいとき、何を質問する?


大人の歯並び全体を対象にした装置に、マウスピース型矯正装置があります。どの装置を用いるかは、歯並びや噛み合わせの状態を踏まえて検討します。


質問しておきたいのは、自分の八重歯がこの装置で対応できるかどうかです。あわせて、対応が難しい場合の選択肢、1日の装着の負担、治療する範囲、抜歯の要否とその理由も聞いておきましょう32。説明や経過の確認を誰が担当するかも、相談時に確かめておくとよいでしょう。


仕事や送迎との両立に迷ったまま相談してもいい?


迷っている段階で相談していただいて構いません。勤務時間や昼食のとり方、送迎の時間、行事の予定、費用面の希望を伝えてもらえると、通院と装着の見通しを具体的に話し合えます。


相談したあとに治療を受けるかどうかは、ご自身で決めていただけます。持ち帰ってご家族と話し合ったり、別の医院の意見を聞いたりしてから決めることもできます。当院に限らず、納得できる選び方を考えることが大切です。


まずは、写真で気になった場面と平日に通える時間帯をメモして、予約のときに伝えてみてください。


よくある質問


Q. 八重歯のところだけマウスピースが浮くのはなぜですか?


A. 位置の高い犬歯は動かす距離が長いため、歯の動きが装置の形に追いつかず、すき間ができることがあります。装着時間が足りない場合や、装置が変形している場合にも浮きやすくなります。浮いたまま次の装置へ進めず、担当医に装置の合い具合を確認してもらってください。


Q. 抜歯したすき間がなかなか埋まりません。どうすればいいですか?


A. 治療の途中では、計画に沿って少しずつすき間を閉じている段階の場合もあります。ただ、装着時間が不足していたり、歯ごとに動き方が違ったりして、閉じるのが遅れることもあります。自己判断で装置を替えず、通院時に計画との差を確認してもらいましょう。


Q. 治療中に妊娠した場合はどうなりますか?


A. 体調やつわりの状況によっては、装着や通院の予定を見直すことがあります。レントゲン撮影や処置の時期も調整が必要になる場合があるため、分かった時点で担当医に伝え、今後の進め方を相談してください。


参考文献


1. Sarver DM. The importance of incisor positioning in the esthetic smile: the smile arc. American journal of orthodontics and dentofacial orthopedics. 2001. PMID: 11500650 / DOI: 10.1067/mod.2001.114301

2. Gkantidis N, Christou P, Topouzelis N. The orthodontic-periodontic interrelationship in integrated treatment challenges: a systematic review. Journal of oral rehabilitation. 2010. PMID: 20202098 / DOI: 10.1111/j.1365-2842.2010.02068.x

3. Raposo R, Peleteiro B, Paço M, et al. Orthodontic camouflage versus orthodontic-orthognathic surgical treatment in class II malocclusion: a systematic review and meta-analysis. International journal of oral and maxillofacial surgery. 2018. PMID: 28966066 / DOI: 10.1016/j.ijom.2017.09.003


荻野 一樹

歯科医師


東岡崎ジョイ歯科

理事長

荻野 一樹

▶ 監修者プロフィール

経歴
愛知県豊田市出身
愛知県立豊田西高校 卒業
国立鹿児島大学歯学部歯学科 卒業
医療法人小室会 小室歯科ステーション診療所 勤務
東岡崎ジョイ歯科開院
医療法人JOY 設立
株式会社ジョイ SONA DENTAL LABORATORY 設立
実習受け入れ実績:名古屋医療秘書福祉&IT専門学校(歯科助手実習)
資格・所属学会
エンジェルキッズ竜美丘園 園医
社団法人日本健康寿命を伸ばす会 代表理事
オステムインプラント公認アドバイザー
大阪口腔インプラント研究会25期生
大森塾8期生
臨床歯科麻酔管理指導医
日本有病者歯科医療学会