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インプラントはどのくらいもつのか?



失った歯を補う治療法の一つとして、手術によって人工歯根を作るインプラントがあります。埋め入れたフィクスチャーが顎の骨と強固に結合するため、高い安定性を持つ点がインプラントの特徴です。


インプラントは安定性が高く、優れた治療法です。しかし、インプラントは永久に持つ訳ではありません。手術後、毎日の歯磨きや歯科医院で受ける定期メンテナンスを怠ってしまうとインプラントの寿命は短くなります。


今回は「インプラントの寿命」についてご説明します。


インプラントの寿命は何年?


◎平均寿命は「10~15年」程度

インプラントがどれくらい持つか、厚生労働省が調査した研究があります(※)。


インプラント手術後、埋め入れたインプラント体(顎の骨に埋め入れるフィクスチャー)の10~15年の生存率(平均寿命)は上顎が約90%、下顎が約94%です。つまり、「インプラント手術を受けた9割以上の方が10~15年、インプラントが機能した」ことを意味します。


使用するインプラントメーカーや歯科医師の技術にもよりますが、「質の高いインプラント手術と適切なメンテナンスを受けていればインプラントは平均で10年以上持つ」、という結果がでています。


当院で使用するオステムインプラントは、世界シェアNO1で、アジア人向けに作られているため、顎の小さい日本人により合うという点も特徴です。


(※)厚生労働省「歯科インプラント治療の問題点と課題等」(2014)より引用。



10年しか持たない?


上記の「インプラントの平均寿命は10~15年」という年数は、あくまでも平均の数値です。平均で10~15年のため、しっかりと適切なメンテナンスを継続していけばより長くインプラントを使い続けることももちろん可能です(手術やメンテナンスの質が低い場合は10年以下で使用不能になることがあります)。


ご参考までに、世界で最初に行われた1965年のインプラント治療では、手術後、50年以上にわたって大きな問題なくインプラントが機能し続けました(期間中、複数回の修理を実施)。半世紀以上前の手術で入れたインプラントが50年以上機能し続けたのです。現在は当時よりもはるかに技術や素材が進化しています。メンテナンス次第では数十年以上、インプラントを使い続けることもけっして不可能ではありません(※)。


(※)インプラントの寿命には個人差があります。

インプラントを長持ちさせるためには

セルフケアおよび歯科医院で受ける定期メンテナンスが必須です。



長持ちさせるために大切なこと


◎永久的な人工歯ではありません

「第2の永久歯」と呼ばれるほど安定性が高いインプラント。ただし、インプラントは永久的な人工歯ではありません。


インプラントは人工物のため、むし歯にはならないです。しかし、インプラントを覆っている歯ぐきやフィクスチャーを支える顎の骨(歯槽骨)などの歯周組織は患者様ご自身の生身の組織・器官のため、ケア不足が原因で病気にかかることがあります。


インプラント手術後に気をつけなければいけない病気には、ケア不足による細菌感染が原因で発症する「インプラント周囲炎(インプラント周囲粘膜炎)」があります。


インプラント周囲炎は歯周病に似た病気です。インプラントの手術後、毎日の歯磨きや歯科医院で受ける定期メンテナンスを怠ってしまうと歯周組織に細菌が感染し、インプラント周囲炎を発症することがあります。


インプラント周囲炎になると歯ぐきが炎症を起こして赤く腫れたり、歯ぐきから出血する、歯ぐきから膿がでるなどの症状が現れます。症状が進行して重度のインプラント周囲炎になるとフィクスチャーを支えている歯槽骨が細菌によって溶かされ、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。



◎毎日のケアと定期メンテナンスが大切

インプラント周囲炎、および、歯周病やむし歯などのお口の病気を防ぐには、まずは患者様ご自身がしっかり毎日の歯磨きを行うことが大切です。歯磨きに加え、インプラント手術後は定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることでインプラント寿命の延伸につながります。


メンテナンスではインプラントの状態(インプラントに不具合はないか、インプラントと周りの歯との噛み合わせの調和は取れているか、など)をチェックするほか、歯周病やむし歯の有無を確認します。お口のクリーニングも合わせて行います。


メンテナンスでインプラントの不具合や噛み合わせの異常が見つかった場合は状態に合わせてパーツの修理・交換および噛み合わせの治療を行います。歯周病やむし歯が見つかったときは患者様のご同意を得た後、治療を進めていきます。



インプラントをより長持ちさせる


インプラントを長持ちさせるためには、毎日の歯磨き(セルフケア)と歯科医院で受ける定期メンテナンス(プロケア)が欠かせません。


ケアを怠るとインプラント周囲炎を発症するおそれがあるほか、歯周病やむし歯などのお口の病気にもかかりやすくなります。


インプラント手術後はしっかりと歯磨きを行い、合わせて、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。

東岡崎ジョイ歯科
院長
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