根管治療について

本当に抜歯するしか
方法はないでしょうか?
むし歯が進行した場合、「もう抜くしかありませんね」と言われることがあります。しかし、その歯を残せる可能性は本当にないのでしょうか?当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)や歯科用CTを使用して、裸眼では見えない根の細部まで処置を行う精密根管治療を提供しています。世界基準の治療により歯を残せる可能性を追求します。

歯を守るために繊細な治療が
要求されます
むし歯が根っこの根管内まで進行すると、強い痛みを感じたり根管の先端に膿が溜まったりします。根管治療ではこうした根管内の殺菌を行い、お薬を詰めることで歯の根を守ります。根の本数は歯の部位によって異なり、それぞれに神経や血管が通っているため、非常に繊細な処置が要求される治療です。
当院の精密根管治療
当院では、保険診療でも
下記の機器や薬剤を活用します

マイクロスコープ
(歯科用顕微鏡)
マイクロスコープを使用すれば、裸眼の40倍もの高倍率で治療部位を確認しながら治療を行えます。動画も撮影でき、根管内がどのような状態なのか、実際にどのような治療を行ったのかを治療後に鮮明な画像で確認していただける点もメリットです。

歯科用CT
治療前に歯科用CTの3次元断層撮影による検査を行うことで、通常のエックス線検査ではわかりづらい根管の数や形状、病変の大きさなども鮮明な画像で確認でき、豊富な情報に基づいた精度の高い治療につながります。

ニッケルチタンロータリー
ファイル
この機器を使うことで、より効率の良い根管治療が可能となります。根管の状態により差はあるものの、治療のために必要な受診の回数を少なくすることができ、患者さんの負担軽減にもつながります。

ラバーダム防湿法
唾液の中には多くの細菌が含まれ、治療部位に侵入すると再治療が必要となります。このため治療する部分以外をゴム性のシートで覆って、唾液の侵入を防ぎます。当院では部位によってロールワッテ防湿、ZOOによる防湿とラバーダム防湿を使い分けています。

MTAセメント
根管の状態によっては、抗菌性、封鎖性、生体安全性に優れたMTAセメントを治療後の根幹に詰める場合があります。当院ではこの他にもウェルパルプ、セラカルといった薬剤も使用し、さまざまな状態に対応しています。

歯髄電気診(electric pulp test)
歯の表面から電流を流して、神経が生きているかどうかを判定する機器です。正確な診断に基づいた治療の提供に役立ちます。
日本の根管治療成功率が低い理由

成功率の低さには原因があります
日本における根管治療成功率は、30%~50%と言われています(東京歯科大学2011年報告)。一方、諸外国の専門医による根管治療の成功率は80%~90%とされています。なぜ両者の成功率にこれほどまでの差が生じているのでしょうか?
01 むし歯の再発、再感染
過去に根管治療が行われて被せ物が装着してあるものの、むし歯が再発したり、すき間から唾液が入り込んで再感染が起こったりして、根管に膿が溜まっているケースがあります。適合性に優れた被せ物を使用することで、こうした再感染のリスクは低減可能です。
02 口腔内の細菌数
丁寧に歯をみがく人でも、お口の中には1,000~2,000億個の細菌がいると考えられています。いくら根管内の殺菌を行っても、治療の際に唾液が根管内に流入してしまうと再び感染が起こってしまいます。唾液の流入を防止するため、当院では防湿器具(ラバーダム防湿、ZOO)を使用します。
03 見逃し根管、狭窄根管
根管の数には個人差があります。例えば、上顎の前から6番目の歯は通常は3本の根幹がありますが、およそ50%の確率で4本目の根幹が存在します。また、根管の内部が非常に狭いケースも少なくありません。当院ではこのような根管を見逃さないために、狭い根管内で精密な治療が行えるよう、マイクロスコープ、歯科用CTを活用した治療を行います。
04 器具破折根管
根管治療の際に器具が折れてしまい、器具の一部が根管内に残ってしまうことがあります。ある程度太さのある器具であればこうしたトラブルは起きませんが、狭い根管内の処置ではより細い器具を使用する必要があり、折れてしまうことがあるのです。折れた器具の一部は裸眼ではほぼ確認できないため、歯科用CTで確認した上で、マイクロスコープを使用して除去します。
05 穿孔、ストリップパーフォーレーション、レッジ、ジップ
根管内に穴が空いてしまっている場合や、根管の先端が壊れてしまっている場合があります。当院では歯科用CT、マイクロスコープ、MTAセメントを活用して穴を封鎖した上で、必要な根管治療を提供します。
その他の治療方法
できる限り歯を残すため、
当院では以下の治療にも
対応しています
歯根尖切除逆根管充填法
根管の先端に膿が溜まって内部から治療を行うことが困難な場合は、先端を切断して直接膿を取り除いた上で、根の裏側から根管に薬剤を詰めます。
歯根切除法、ヘミセクション、
トライセクション
根幹が複数に別れており、どれかひとつの根管の状態が悪い場合に適用を検討する方法です。歯自体を残しながら、問題のある根管のみを除去します。
歯根分離法
根管が複数あり、根管の分岐部の状態が悪い場合に適用を検討する治療法です。問題のある根管のみを分割して除去し、残ったそれぞれに被せ物をします。