インプラント治療は、口腔内の状態だけでなく、全身の健康状態や生活環境などによって、制限されるケースがあります。
この記事では、「インプラントができない場合ってあるの?」「どんな病気があると治療が難しくなるの?」といった疑問にお答えしながら、当院がどのように対応しているかについてもご紹介します。
目次
■インプラントができないとされる代表的なケース
◎妊娠中の方
妊娠中の方は、ホルモンバランスの変化や感染症リスクの観点から、基本的にはインプラント治療は行いません。
この時期は身体への負担を避ける必要があります。
産後、体調が安定した時期に、再度治療ができるか判断することになります。
◎未成年の方
インプラントは顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め入れる治療のため、顎の骨の成長が完了していない未成年の方には適していません。
一般的には、成長が安定する18歳前後以降での治療が検討されます。
◎放射線治療を受けている方
頭頸部への放射線治療を受けた方は、骨の血流や代謝が低下している可能性があるため、骨がインプラントとしっかり結合しないリスクがあります。
治療を受けた範囲や放射線量によっては、治療が困難となるケースがあります。
■全身疾患がある方は注意が必要
◎糖尿病や高血圧、心疾患などをお持ちの方
糖尿病や高血圧、心臓病などの持病がある方は、手術時の感染リスクや出血リスクが高まることがあります。
特に血糖値がコントロールされていない糖尿病の方は、傷の治りが遅く、インプラントの成功率が下がることも知られています。
◎骨粗しょう症やステロイド服用中の方
骨粗しょう症の治療薬や、長期間のステロイド使用中の方は、顎骨壊死などの副作用が懸念されるため、慎重な検討が必要です。
◎免疫力が低下している方
がん治療中や自己免疫疾患による免疫抑制剤の使用などで、免疫機能が低下している場合も、感染リスクが高く、治療のタイミングや方法に配慮が求められます。
■当院では医科と連携し、安全性を確認してから治療を行います
◎全身疾患がある方でも可能な場合があります
「病気があるからインプラントは無理だ」と思っていた方でも、医科との連携を通じて安全性を確認し、治療を行えるケースもあります。
当院では、主治医やかかりつけの内科医と連絡を取りながら、患者様ごとに適切な治療時期や注意点を把握したうえで、治療計画を立てています。
◎事前の検査と問診を徹底しています
初診時には、CT撮影や血液検査、服薬状況の確認などを行い、全身状態をしっかり把握した上でインプラント治療が可能かどうかを判断しています。
■その他、インプラント治療が難しくなる要因
◎重度の歯周病や口腔衛生不良
インプラントは人工物であっても、歯肉や骨が健康でなければ長期的な維持は難しい治療です。
重度の歯周病がある場合は、まず歯周病治療を行い、炎症をしっかり抑えてからインプラント治療に進む必要があります。
◎喫煙習慣がある場合
喫煙に含まれる物質は血流を悪くし、骨の回復や傷の治癒を妨げるため、インプラントと骨の結合がうまくいかなかったり、傷の治癒が遅くなることがあります。
当院では禁煙を推奨し、できる限り治療前に生活習慣の改善をお願いしています。
【不安がある方は医科連携を前提に相談を】
インプラント治療は、口腔内の問題だけでなく、全身状態や生活習慣まで考慮した上で進める外科的な治療です。
そのため、病気や服薬、年齢や妊娠などによって制限がかかることもあります。
しかし、「病気があるから無理なんだ」とすぐにあきらめる必要はありません。当院では医科と連携を取りながら、できる限り安全性を高めた治療ができる体制を整えています。
まずはお気軽にご相談ください。
また、こちらのインプラント治療において注意が必要な疾患についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。ぜひあわせてご確認ください。