インプラント治療を行う際、歯を失った原因が歯周病だと、自分もインプラントできるのだろうかと不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に歯周病の有無や進行度は、インプラント治療の可否や成功率に大きく関わります。
ここでは、歯周病とインプラント治療の関係、リスク、そして治療を受ける前に知っておくべき対策について詳しく解説します。
目次
■歯周病があるとインプラントはできないのか?
◎基本的には治療が必要
歯周病が進行している状態では、インプラント手術を行うことはあまりありません。
歯周病は歯を支える骨や歯肉が破壊される病気であり、そのままインプラントを埋め込むと、インプラント周囲炎を起こすリスクが非常に高くなります。
そのため、まずは歯周病の治療を終え、口腔内を健康な状態に整えることが前提となります。
◎歯周病治療後なら可能
歯周病をしっかり治療し、歯肉や骨の炎症がコントロールできていれば、インプラント治療は可能です。
軽度から中等度の歯周病であれば、適切な治療を受けたのちにインプラントを行うケースは多くあります。
■歯周病があるままインプラントをするリスク
◎治療の失敗や寿命の短縮
炎症が残ったままや、骨の量が足りない状態のなかに無理にインプラントの埋め入れを行うと、噛む力に耐えきれずインプラント体が安定しない場合があります。
また、手術後の治癒がうまくいかず、早期にインプラントが抜け落ちてしまうリスクもあります。
◎歯周病は全身の健康にも悪影響
歯周病菌は血流を介して全身に広がることが知られています。
糖尿病や心疾患との関連も報告されており、インプラント治療だけでなく健康全体を考えたときにも、歯周病を放置したままの治療はリスクが大きいのです。
■歯周病で骨が少ない場合はどうする?
◎骨造成の必要性
重度の歯周病では、歯を支える骨が溶けて大きく減っていることがあります。
この場合、そのままではインプラントを埋入し、顎の骨で固定ができません。
そこで行われるのが「骨造成」と呼ばれる治療です。
自分の骨や人工骨を用いて骨の量を増やし、インプラントが安定する土台を作ります。
◎骨造成の種類
代表的な方法には、GBR法、ソケットリフト、サイナスリフトなどがあります。
どの方法を選ぶかは、骨の量や部位によって異なります。
これらの処置を併用することで、歯周病によって骨を失ったケースでもインプラント治療が可能になる場合があります。
関連記事:
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>骨の量が少なくてもインプラント治療が可能に?「ソケットリフト」「サイナスリフト」とは その違いも解説
■歯周病の方がインプラント治療を受ける際の対策
◎歯周病の治療やクリーニングをしっかり受ける
スケーリング、歯周外科手術、生活習慣の改善などで歯周病を安定させることが大切です。
特に手術前後の喫煙習慣は治療の成功率を下げてしまうことがあるため、禁煙も重要な対策となります。
◎メンテナンス
歯周病の既往がある方は、治療後も再発のリスクが高いです。
インプラント埋入後も定期的なクリーニングや検診が欠かせません。
歯科医院でのプロフェッショナルケアと、自宅での正しいブラッシング、フロス、歯間ブラシの併用が長期的にインプラントを使い続ける鍵です。
◎全身管理
糖尿病など全身の持病がある場合は、そのコントロールも重要です。
主治医と歯科医師が連携して治療計画を立てることで、感染や治癒の遅れなどのリスクを抑えられます。
【歯周病の治療が終わってからインプラントを行う】
歯周病があって、インプラント治療を検討している場合は、まず歯周病治療をしっかり行い、必要であれば骨造成を併用することで、インプラント治療が可能になることが多くあります。
インプラントを長く安心して使うためには、治療前の口腔内環境の改善と、治療後のメンテナンスが欠かせません。
歯周病と診断された方や、過去に歯周病で歯を失った方は、まず歯科医院で詳しい検査と相談を受け、自分に合った治療プランを立ててもらうことをおすすめします。
当院でも患者様一人ひとりに合った治療計画を立案していますので、まずはお気軽にご相談ください。