歯の矯正には、お子さん向けの小児矯正や大人の方が対象の成人矯正があります。
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子どもの歯並びを治したい
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大人の方がご自身の歯並びを整えたい
と感じるも、矯正を始めるタイミングで迷ってしまう場合もあるかもしれません。
歯の矯正は、何歳頃から始めるのが良いのでしょうか?
目次
■矯正治療に年齢制限はあるの?
◎歯の矯正に年齢制限はありません
歯の矯正に年齢制限はありません。歯・歯周組織(歯ぐきや顎の骨など)の状態が良ければ、何歳の方でも歯の矯正を行える可能性があります。
■望ましいのは、8歳頃までに小児矯正「咬合誘導」を受けること
◎顎の健全な成長をうながし、将来の綺麗な歯並びの獲得&一生を通じて「お口周りで困らない」を目指します
年齢制限はない、歯の矯正。
年齢制限はないのですが、矯正を始めるのが望ましい年齢としては8歳頃までの小さな子どもの時期が挙げられます。
[小児矯正「咬合誘導」を受けた方が良いとされる歯・顎&お口周りの状態]
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歯並びの乱れがある
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顎の位置・顎の骨格の異常(受け口、口ゴボなど)がある
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口呼吸・舌癖(ぜつへき)などの悪い癖がある
上記のような場合、遅くとも8歳頃(5~8歳頃)までに小児矯正「咬合誘導(こうごうゆうどう)」を受けるのが望ましいとされています。
{小さな子どもの時期限定の小児矯正「咬合誘導」の特徴}
8歳頃までの、顎が未成熟でやわらかいうちに咬合誘導を受けることで、顎の健全な成長をうながしやすくなります。
顎が健全に成長し、顎の骨格が適切に広がると口腔内にスペースが生まれるのです。口腔内に確保したスペースにより、6~12歳頃の歯の生え変わりの時期に永久歯がまっすぐ生えやすくなります(=将来の綺麗な歯並びを得やすくなる)。
咬合誘導では、顎の健全な成長をうながすことでお子さんの将来の綺麗な歯並びの獲得を目指します。綺麗な歯並びの獲得に加え、顎の骨格の適切な成長により、バランスの取れたお顔立ちになる効果も期待できます。
咬合誘導で行う「MFT(口腔筋機能療法:お口周りの筋トレ)」を通じて正しいお口の使い方を身につけることにより、矯正後の歯並びの後戻りを起きにくくするメリットも(※)。
(※)MFTを行わない、装置の装着のみの咬合誘導もあります。
■必ずしも、「子どもの時期に歯の矯正を受けた方が良い」とは限らない場合も
◎お子さんご自身に強い意思がないと、最後まで矯正を続けられないケースが多いです
「顎の成長異常や口呼吸などの悪い癖が見られる場合」は、8歳頃までの、顎の骨格が未成熟でやわらかいうちに小児矯正「咬合誘導」を受けるのが望ましいです。
8歳頃までに咬合誘導を受けるのが望ましいのですが、「顎の成長異常や口呼吸などの悪い癖が見られない」ケースにおいては、必ずしも、「子どもの時期に歯の矯正を受けた方が良い」とは限らない場合もあります。
このように申し上げるのは、お子さんが「矯正装置が嫌だ」と言ったり、飽きてしまうなど、最後まで矯正を続けられないことが多いためです。
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子どもご自身に「歯並びを治す」「最後まで矯正を続ける」強い意思がない
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“親や歯医者さんに矯正をやらされている”意識がある
上記のような理由により、子どもは最後まで矯正を続けられないケースが少なくありません。
◎歯のケア不足や矯正装置の装着時間の不足などにより、子どもは矯正期間が延びやすい傾向が見られます
意思・意識の問題に加え、大人と比べて子どもは自己管理能力に乏しい面があり、
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歯のケア(歯磨き+歯間清掃)
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矯正装置(矯正で用いるマウスピースなど)の装着時間
が不足しがちです。歯のケア不足によってむし歯・歯周病が進行した場合、矯正を中断して歯の病気の治療を行わなければならなくなることも。
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矯正を中断
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矯正装置の装着時間が不足している
場合、矯正の効果が薄れたり、歯並びが元の位置に戻ってしまうおそれがあります。子どもの矯正では、むし歯・歯周病治療による矯正の中断、矯正装置の装着不足が原因で矯正期間が延びてしまうケースも多いです。
◎未成年の方の歯の矯正は、顎の成長によって歯の位置がずれてしまうことも
小さな子ども~中高生を含め、未成年の方の歯の矯正は、顎の成長により、矯正後に歯の位置がずれてしまうことがあります。
上記の理由により、未成年の方で顎の成長が見られるときは、一旦、小児矯正をやめる場合も。一旦、小児矯正を休止し、成人後に矯正(成人矯正)を再開することで、顎の成長による歯の位置のずれを防ぎやすくなります。
【大人になってからでも、「歯並びを整えたい」と感じたときは早めの歯科の受診をおすすめします】
矯正を始めるタイミングは、人それぞれ。
大切なのは、患者さんご自身が「最後まで矯正を続ける強い意思」を持つこと。
くり返しになりますが、歯の矯正に年齢制限はありません。
年齢に関わらず、大人になってからでも「歯並びを整えたい」と感じたときは、早めの歯科医院(矯正を行っている歯科)の受診をおすすめします。