
産休前の検診は、週数と歯ぐきの様子から予定を立てる
「安定期に入ってから」と考えていた歯科検診の案内が届いた。一方で、歯磨きのたびに歯ぐきから血がにじむ。仰向けで気分が悪くならないか、撮影や麻酔を勧められたらどう判断するかも気になるところです。
この記事では、妊娠週数と体調から受診時期を考える目安、出血があるときに検診を待たず連絡したほうがよい状況、診療中の姿勢や休憩の相談方法を整理しました。受診の時期は週数だけでなく、その日の体調と口の症状を合わせて決められます。予約時に伝える内容もまとめています。
この記事の要点まとめ
- 妊娠中の検診時期は週数だけでなく、体調や口の症状に応じて相談します。
- 出血が続く、腫れや痛みがある場合は、定期検診を待たず歯科医院へ連絡します。
- 撮影・麻酔・薬の説明を確認し、妊娠週数や産婦人科の指示、服薬状況を伝えます。
妊娠中の歯科メンテナンスは、週数と体調で時期を決める

定期検診の時期は、妊娠週数に加えて、そのときの体調と口の症状から判断します。つわりが落ち着き、座っていられる時間が長くなる中期は予定を組みやすい方が多いものの、初期や後期だから受診できないというわけではありません1。
妊娠初期・中期・後期で、予約時に確認したいこと
| 時期 | 判断の材料 | 予約の考え方 |
|---|---|---|
| 初期(〜15週ごろ) | つわり、眠気、においへの敏感さ | 体調をみて日程を調整する |
| 中期(16〜27週ごろ) | 体調の安定、通院日を確保できるか | 定期検診を予約しやすい |
| 後期(28週ごろ〜) | 移動の負担、仰向けの姿勢、おなかの張り | 短時間・休憩を前提に相談する |
どの時期でも、出血や痛み、腫れがあれば「先に連絡する」が優先です。表の区切りはあくまで目安にすぎません。産婦人科から安静などの指示が出ている場合は、その内容を受診前に伝えてください。
出産前に受けたい場合、いつまでクリーニングを相談できる?
「何週まで」という一律の線はありません。妊娠9ヶ月ごろでも、体調が安定していれば短めの時間でクリーニングや歯ぐきの確認を相談できる場合があります。ただ、後期はおなかが大きくなり、仰向けを続けるのがつらくなりがちです。
予約の段階で、週数と出産予定日、診療台で過ごせそうな時間を伝えておくと、内容を何回かに分けるなどの調整がしやすくなります。出産後は授乳や育児で通院の時間が取りにくくなることもあるため、産休の前後どちらで受けるかを早めに話しておくと見通しが立ちます。
体調が悪い日は延期し、症状がある日は先に連絡する
つわりが強い日、めまいやおなかの張りがある日は、検診を延期して構いません。キャンセルの連絡の際に次の候補日を相談すれば十分です。
反対に、歯ぐきの出血や痛みがあるなら、予定日まで待つより先に症状を伝えるほうが、受診の時期や内容を決めやすくなります。妊娠中はホルモンバランスの変化で歯ぐきが腫れやすくなるとされ2、検診のついでに回さず相談したい理由はここにあります。
ポイント
体の不調は「延期する理由」、口の症状は「先に連絡する理由」と分けて考えると、予定を決めやすくなります。
歯ぐきの出血は、次の定期検診まで待っていい?
出血が数日で落ち着き、腫れや痛みがなければ、予定の検診で相談する形で構いません。出血を繰り返す、腫れや痛みが増すといった場合は、検診日を待たずに歯科医院へ連絡しましょう。
歯磨きで血が出るとき、伝えておきたい症状
妊娠中は女性ホルモンの影響で歯ぐきに炎症が起こりやすく、歯磨きのときに血が出やすくなります2。ただ、もともとの歯周病(歯を支える歯ぐきや骨の病気)が進んでいる場合もあるため、妊娠のせいと決めつけずに確認しておきたいところです3。
電話や受診の前に、次の点をメモしておくと伝えやすくなります。
- 出血の頻度(毎回か、ときどきか)と量
- 出血する場所(前歯、奥歯、特定の1本など)
- 腫れ、痛み、口のにおい、歯ぐきの色の変化
- つわりなどで歯磨きがしにくい時間帯
出血が続く・腫れて痛む場合は予約前に相談
1週間以上出血が続く、歯ぐきが腫れて噛むと痛む、出血がなかなか止まらない。こうした状態なら、予約日を待たずに相談してください。
発熱や強いだるさ、おなかの張りなど全身の不調を伴うときは、歯科医院だけでなく産婦人科にも連絡を。歯周病と早産・低体重児出産との関連を報告する研究はありますが、因果関係を一律に言い切れる段階ではありません3。だからこそ、気になる症状は早めに見てもらい、口の状態を把握しておくことに意味があります。
メンテナンスの間隔は何ヶ月ごと?
妊娠中だからといって、全員に共通する間隔はありません。出血の程度や歯石の付き方、前回の受診内容、出産までの残り期間を踏まえて、次回の時期を決めていきます。当院に限らず、口の状態や体調の変化を伝えながら、一人ひとりに合う間隔やケアを相談することが大切です。
つわりで歯磨きがつらい日は、ヘッドの小さい歯ブラシに替える、顔を下に向けて磨く、体調のよい時間帯にまとめて磨く、といった工夫を試してみてください。磨けない日はうがいだけでも構いません。出産後は赤ちゃんへのむし歯菌のうつり方も気になる時期になるので、ご家族も含めて口の中を整えておく考え方もあります4。
ポイント
出血が数日で引くなら検診時に相談、続く・腫れる・痛むなら予約日の前に連絡、が一つの目安です。
検診で行うことと、撮影・麻酔・薬が必要になったときの考え方

検診の中心は歯ぐきの状態確認と清掃で、治療が必要かどうかはその結果を見てから相談します。撮影・麻酔・薬を提案されても、その場で決める必要はありません。
歯ぐきの検査・歯石除去・クリーニングでは何をする?
歯ぐきの検査では、歯と歯ぐきの境目の溝の深さや出血の有無を調べ、炎症の範囲をつかみます3。歯石除去は、歯磨きでは取れない硬い汚れを専用の器具で取り除く処置です。クリーニングでは、歯の表面に膜のように残る細菌のかたまり(歯垢)を落としていきます2。
出血しやすい時期は、1回で全体を済ませず、範囲を分けて進めることもあります。予定外の処置にならないか心配な方は、「今日は何をするのか」「今回処置しない場合はどうなるか」を最初に尋ねて大丈夫です。
歯石除去やクリーニングでは、次のようなことが起こる場合があります。
- 処置中や処置後に歯ぐきから出血する
- 歯ぐきに一時的な痛みやひりひりした感じ、腫れが出る
- 歯石が取れたあとに、冷たいものなどで歯がしみる(知覚過敏)
痛みやしみる感じが続く、腫れが強くなるといった場合は、次の予約を待たずに歯科医院へ伝えてください。
レントゲン撮影や局所麻酔を提案されたら
歯科のレントゲン撮影はおなかから離れた部位を写し、防護用のエプロンを使うのが一般的です。局所麻酔も、通常の量であれば妊娠中に用いられることがあります。とはいえ、気持ちのうえで納得できるかどうかは別の話でしょう。
局所麻酔では、注射した部分の痛みや、処置後しばらく唇や頬のしびれが残ることがあります。まれに動悸や気分不良が起こることもあるため、以前に麻酔で具合が悪くなった経験があれば事前に伝えてください。
判断に迷うときは、なぜ今必要なのか、出産後まで延期できるか、ほかの確認方法や処置の選択肢はあるか。この三つを順に尋ねてみてください。妊娠週数と産婦人科からの指示も合わせて伝えれば、個別の事情に沿って検討しやすくなります。当院に限らず、説明でわからない点は確認し、前回の話も踏まえて相談するとよいでしょう。
薬が必要な場合は、服用中の薬も含めて確認する
妊産婦の歯科診療では、薬はなるべく使わない方針をとることが多く、必要な場合も種類や量を選んで処方されます。産婦人科で処方された薬、市販の鎮痛薬、葉酸や鉄剤などのサプリメントは、すべて伝えてください。お薬手帳や母子健康手帳を持参すると、確認が早く済みます。
処方を受けたら、薬の名前と目的、飲む回数と期間を確認しておきましょう。不安が残るときは、産婦人科にも相談してから服用を決める流れでも差し支えありません。
愛知県で産休前に通うなら、姿勢と予約の伝え方も確認
愛知県で働きながら産休前に検診を済ませたい方は、診療中の姿勢と予約時の伝え方を前もって決めておくと、限られた休みを有効に使えます。
仰向けがつらいときは、姿勢や休憩を受診前に相談
妊娠中期以降は、仰向けの姿勢が続くとおなかの重みで大きな血管が圧迫され、気分が悪くなったり血圧が下がったりすることがあります(仰臥位低血圧症候群)。予約の時点で「仰向けが長いとつらい」と伝えておけば、背もたれの角度や体の向き、休憩の入れ方を相談しやすくなります。
診療中に気分が悪くなったら、我慢せず手を挙げるなどして知らせてください。体を左側に少し傾けると楽になる場合があります。
東岡崎ジョイ歯科への連絡時に伝える内容
予約や相談の際は、次の内容を伝えておくと当日の進め方を相談しやすくなります。
- 妊娠週数と出産予定日
- 歯ぐきの出血・痛み・腫れの有無
- つわり、めまい、仰向けでの不調
- 服用中の薬やサプリメント
- 産婦人科からの指示(安静の指示など)
- 受診できる日の候補
当院に限らず、相談したからといって、その日に処置を受けなければならないわけではありません。説明を聞いてから受診の時期を決めることもできます2。
今受けたい人と、体調をみて日程を決めたい人
出血や痛みがなく体調も落ち着いていて、産休前に予定を組みたい方は、定期検診の予約を相談しましょう。出血が続いている方は、予約日を待たずに症状を伝えてください3。
つわりやめまいが残り、日によって体調に波がある方は、延期や短時間での受診を選ぶ方法もあります。迷ったときは、妊娠週数と今の口の状態を電話で伝え、検診と相談のどちらから始めるかを一緒に決めていくのが無理のない進め方です。
よくある質問
Q. 妊娠中の歯科医院のクリーニングは、いつまでできますか?
A. 何週までと一律には決まっていません。後期でも体調が安定していれば、短時間で受けられる場合があります。予約時に週数、出産予定日、仰向けでの不調の有無を伝え、進め方を相談してください。
Q. 妊娠9ヶ月でも歯科治療はできますか?
A. 症状や体調によっては対応できる場合があります。ただし姿勢の負担が大きくなる時期のため、急がない処置は出産後に回すこともあります。産婦人科からの指示も合わせて歯科医師と相談しましょう。
Q. 歯科のメンテナンスは何ヶ月ごとに受けるべきですか?
A. 全員に共通する間隔はなく、歯ぐきの状態や歯石の付き方、出産までの予定を踏まえて決めます。妊娠中に出血が増えた方は、前回より短めの間隔を提案されることもあります。
Q. 妊娠中の検診の費用はどのくらいかかりますか?
A. 検査や処置の内容、保険診療か自由診療かによって変わります。一般的な目安として、保険診療で歯ぐきの検査と歯石除去を受ける場合は、3割負担で1回あたり3,000〜5,000円程度です。レントゲン撮影が加わると、1,000円前後上乗せになることがあります。保険の範囲外で行う自由診療のクリーニング(専用の器具で歯の表面の汚れを落とし、磨き上げる処置など)は、1回あたり5,000〜15,000円程度が多く、歯ぐきの状態によっては2〜3回に分けて行うこともあります。自由診療のクリーニングでも、処置中や処置後の歯ぐきの出血、一時的な痛みや腫れ、歯がしみる感じが出ることがあります。これらは一般的な相場であり、当院の費用ではありません。当院の費用は診察のうえでご案内します。お住まいの自治体の妊婦歯科健診の案内もあわせて確認してください。
Q. 出産後はいつごろ歯科受診を再開できますか?
A. 体調が戻り、通院の時間が取れるようになった時期が目安です。授乳中に薬が必要な場合は、授乳中であることを伝えたうえで薬の種類を相談してください。
参考文献
1. 厚生労働省. 健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報). https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 厚生労働省. 健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康). https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
3. 日本臨床歯周病学会. https://www.perio.jp/
4. 日本小児歯科学会. https://www.jspd.gr.jp/
愛知県立豊田西高校 卒業
国立鹿児島大学歯学部歯学科 卒業
医療法人小室会 小室歯科ステーション診療所 勤務
東岡崎ジョイ歯科開院
医療法人JOY 設立
株式会社ジョイ SONA DENTAL LABORATORY 設立
実習受け入れ実績:名古屋医療秘書福祉&IT専門学校(歯科助手実習)
社団法人日本健康寿命を伸ばす会 代表理事
オステムインプラント公認アドバイザー
大阪口腔インプラント研究会25期生
大森塾8期生
臨床歯科麻酔管理指導医
日本有病者歯科医療学会
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